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Channel: 玉虫色の生活-美術展・美術館めぐり
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モネ大回顧展の感想(6/8)-国立新美術館-

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6/8平日休みにモネ展へ出掛けた際の感想を記しておきます。長いです。あとで編集する可能性があります。


早起きして、開館と同時に見ようと思っていたのですが、寝坊したのと朝食をがっちり食べたので、11時頃国立新美術館に到着。
チケット売り場に並ぶと「モネ展は入場まで10分待ちでーす。」という係員の声が聞こえてきました。
平日の午前でも人が多いなぁ、と思ったのですが、入場制限しているということは、館内は見やすいだろうと思い直しました。

展示室に入ると、すぐに目玉作品の一つ、≪日傘の女性≫がありました。月並みですが「見上げるようなアングルがいいなー」と。近距離から離れ目まで、いろんな距離感で見たい作品です。

『光』とタイトルの付いた区画では、≪サン=タドレスの海岸≫の暮れ行く海岸の夕日の微妙な光加減や、≪コロンブの平原、霜≫の地面の反射を見て、「明るい日差しを描くばかりが『光の魔術師』ではないんだなー」と感心しました。
≪コロンブの平原、霜≫はとても気に入りましたが、隣にあった≪アルジャントゥイユののセーヌ川≫はオルセー展で見た似たアングル≪アルジャントゥイユの船着場≫の方が良いかなと思いました。

『色彩』のコーナーに並んでいた、美しい花、色鮮やかな庭の絵はそれはそれで美しいけど、モネの真骨頂では無いのかなー、と思ったりしました。
『ジャポニズム』の区画には漁師小屋を異なるアングル、タッチで描いた作品が並んでいました。同じ年(1882年)に描かれているのですが、空の色、海の色、「光の捕らえ方」が全く違っていて、面白いです。描いた日の天気が違う、ということでは片付けられないですね。
あとは≪エトルタの日没≫がとても気に入りました。「一日の終わり」という哀愁よりはむしろ、太陽光の持つ根源的な生命力のようなものが幻想的なタッチと相まって感動的です。「モネは描きながら何を思ったんだろう。」と考えながらかなり長い時間見惚れていました。
≪ポール・ドモワの洞窟≫は近くで見るとなんだか全然わかりませんが、離れると見事な岩肌。最短距離から徐々に離れて楽しみたい作品です。

≪ルエルの眺め≫はかなり早い1858年の作品。写実的な作風で、「コローの作品」と言われたら信じてしまいそうです。近くにいた人が「写実的に描こうと思ったらいくらでも描けるのねー。」と言っていました。
≪アルジャントゥイユのレガッタ≫は晴天の明るい光と水面への反射を全面に出した作品。本展覧会で、一番明るい作風だったのではないでしょうか。こういうのもいいですね。
≪セーヌ川の朝、霧≫と≪セーヌ川の朝≫という朝靄の河の絵2点並んでいました。「右(セーヌ川の朝、霧)のほうがいいね。」と別々の2グループからほぼ同時に声が聞こえたのですが、僕は左の≪セーヌ川の朝≫の方が断然好き。皆さんはどっちが好きでしょうか。

良い絵が多かったので、この時点で満足度は非常に高かったのですが、ふと、ブリヂストン美術館で見た≪黄昏、ヴェネツィア≫が頭を過ぎりました。ブリヂストンで、見た≪黄昏、ヴェネツィア≫はそれはそれは感動的だったのです。
モネ展を見終わって、体力が残ってたら、ブリヂストンの「じっと見る・・・」展にもう一度行こうかなぁ、なんて考えてたら、ありました。≪黄昏、ヴェネツィア≫。ブリジストンの展覧品入れ替えで、こっちに来たんですね。
やっぱり、なんとも言えず・・・感動的な作品。ちなみにポストカードを購入した時に一番、がっかりした作品でもあります。実物のタッチが全然再現されて無いじゃん・・・てね(モネ展のショップでは売ってないと思います)。
ヴェネチアの水(水蒸気)、光、色。近くにある、≪大運河、ヴェネツィア≫などの作品と合わせて楽しみましょう。

後半に備えて、休憩所でしっかり休みました。すでに「いい展覧会だー」と満足していたのですが、後半も圧巻でしたよ。ここからは連作が多かったですね。
季節や時間帯を変えて描かれる、一連の≪積みわら≫。なんでも僕の好きなカンディンスキーはモネの≪積みわら≫を見たのが画家を目指すきっかけだったとか。実際に目にしたのはどの作品なんでしょうね。
ちなみに僕は≪ジヴェルニーの積みわら、夕日≫をついこの間、埼玉県立近代美術館の常設展示でも見てます。

ルーアン大聖堂はオルセー展でも見ていますが、今回来ている2点は別の作品。≪霧のルーアン大聖堂≫は「連作とは言え、良く描いたね。」と驚きました。というのも霧がかかって、建物の形なんてほとんどわからないのですから。しかし、図録によると、ルーアン大聖堂の連作はモネにとっても野心作だったとのこと。見た人が驚くのも計算でしょう。モネは確信犯ですな。
チャリング・クロス橋、ウォータールー橋、国会議事堂など、同じものを同じアングルで描いているのは面白いですね。積みわらと違って、同じアングルですから。しかし、どれも違う味のある作品に仕上がっているのは見事。連作を同時に見られるのは本当に贅沢だと感じました。

僕は結構、睡蓮を見てるほうだと思うんですよ。国立西洋美術館、川村記念美術館、ブリヂストン美術館で見ていますが、今まで見た以上の点数を一度に見られました。
睡蓮・積み藁などの連作は特に、ですが、描かれた年代にも注目してみてはいかがでしょうか。

あと、点数がすごいので、途中でちゃんと休憩しましょう。僕は休憩込みで2時間見ていました。
平日でもかなり混んでいますが、展示室自体は結構広い造りなので、人の流れに乗るのは止めましょう。牛歩で動く変な流れがあります。回りを見渡すと、意外と空いている箇所があります。空いてる所から見ましょう。

一日で堪能できるだけ堪能しきりましたが、それでもなお、もう一度行きたい、しあわせな展覧会でした!
(≪かささぎ≫と≪サン=ラザール駅≫に触れるのをわすれたな・・・両方、好きよ)


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